黒留袖を着る母親の髪型は?失敗しないポイントやウィッグ活用術を紹介
「黒留袖を着るときの髪型は?」「前髪をおろすのはNG?」など、黒留袖の装いにふさわしいヘアスタイルが分からず悩んでいる方はいませんか。
黒留袖は結婚式で新郎・新婦の母親が着る格式高い礼服です。しかし、滅多に着る機会がないため、正しい髪型やマナーなどがわからないという方も少なくはないでしょう。
そこで本記事では、50・60代の母親が黒留袖を着るときの髪型や基本マナー、ウィッグ活用術などをまとめました。母親として、子どもの晴れの日に失敗したくない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
黒留袖とは?結婚式で失敗しないために知っておくべきこと
黒留袖とは、結婚式で新郎や新婦の母親が着る格式高い礼服ですが、着用時のマナーを知らなければ、失敗してしまうこともあります。
そこで、ここでは黒留袖の意味や着こなし方などを詳しく解説します。安心して結婚式に出席できるよう、しっかりチェックしておきましょう。
黒留袖とは?
黒留袖(くろとめそで)は、既婚女性が結婚式や正式な場で着用する着物です。黒を基調としたデザインで、裾部分にのみ華やかな模様が施されています。
主に新郎や新婦の母親や親族、仲人夫人などが着用する礼服です。黒留袖は合わせる帯や小物にもそれぞれルールがあります。
帯は表地と裏地を別々に織り、筒状に仕立てた袋帯が基本です。帯の上からちらりと見える帯揚げや帯締め、足袋などは全て白で統一します。
普段使いの着物のように自由に小物の色や柄、素材を選ぶことはできないので注意しましょう。
黒留袖で結婚式に出席する際の基本マナー
格式高い黒留袖を着て出席する際は、それにふさわしいマナーを心がける必要があります。
とくに結婚式では新郎・新婦の母親として、子どもに恥をかかせないためにも細かく気を配るようにしましょう。
ここでは、結婚式で黒留袖を着る際の基本マナーを紹介します。難しくはありませんが、つい忘れてしまう可能性もあるため、事前にマナーのレッスンをしておきましょう。
歩幅を小さくして歩く
着物は足をあまり大きく開くことができない作りになっています。そのため、黒留袖を着て歩く際は、普段より歩幅を小さくし、ゆっくりとした足取りを心掛けましょう。
早足になると着物が乱れ、品位も損なわれます。また、転倒する恐れもあることから、普段よりも慎重にゆっくり動くことが大切です。
着席時は背もたれに寄りかからない
黒留袖を着用して座る際は、背もたれに寄りかからないようにしましょう。なぜなら、筒状に仕立てた袋帯が背もたれにあたり形が崩れてしまう可能性があるからです。
黒留袖を着て座る際は、帯が椅子の背に当たらないよう気にしつつ、背筋を伸ばして着席しましょう。背筋を伸ばして座れば、姿勢もよく見えるので着物の美しさを損なわず、品よく見えます。
手を挙げる際は袖口をおさえる
黒留袖を着て手を挙げる際は、袖口を押さえましょう。黒留袖の袖は長く大振りです。そのまま手を挙げると袖がまくれ上がってしまい、見苦しい印象を与えます。
また、目の前に料理が並んでいる状態で手を前に出すと、袖が料理について汚す可能性もあります。
そのため、動かす手の反対側の手で袖口を軽く押さえるようにしましょう。袖を押さえるしぐさは、見た目にも上品に映るため、黒留袖で結婚式に出席する際には知っておきたいポイントです。
黒留袖の髪型に関する基本的な考え
黒留袖は格式のある礼服です。そのため、小物にもルールがあるように、髪型にもふさわしい装いがあります。
ここでは、黒留袖の髪型に関する基本的な考え方をまとめました。黒留袖の髪型で悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
髪型
母親としての立場でなくても、結婚式に参列する際は、清潔感のある髪型が基本です。
特に、新郎新婦の母親という立場であれば、顔に髪がかかるような後れ毛を出したルーズヘアはマナー違反です。母親として髪型などの装いで失敗しないように注意しなければなりません。
ロングヘアの方はアップスタイル、ショートやボブヘアの方はサイド部分を耳にかけ、顔に髪がかからないようにすっきり整えるのが一般的です。
結婚式は華やかな場ですが、母親は主役ではありません。若々しく見せたいからといって、流行りの髪型にするのではなく、新郎新婦の母親として相応の髪型なのかを客観的な視点から見直すことが重要です。
髪色
普段からブラウンカラーにされている方は、「黒色に染めなおさなければいけないの?」と心配されているかもしれませんが、現在の結婚式では問題ありません。ただし、パープル、ピンクといったおしゃれ染めをされている方は、できれば、黒留袖に合うよう、ワントーン抑えたカラーのほうが上品さが増すでしょう。
しかし、どうしてもおしゃれ染めの染め直しに抵抗がある方は、ウィッグの活用はいかがでしょうか。
フルウィッグであれば、現在の髪色を気にせず、髪全体を手軽にカバーできるのでおすすめです。記事の後半で、50代60代の髪の悩みをウィッグでカバーする方法やウィッグを使った黒留袖に合う髪形、黒留袖に合うウィッグ活用例を紹介しています。今の髪色はそのままにしておきたい方は参考にしていただけると幸いです。
髪飾り
結婚式では、新婦が一番輝く場です。新婦より目立つようなきらびやかで派手な髪飾りはマナー違反になります。母親という立場であれば、質素で上品な髪飾りを選びましょう。母親が選ぶ髪飾りとして、パールやべっ甲のかんざし、扇型のものであれば安心です。また、小さなパールのコームなどをさりげなく飾ると高級感があって素敵です。こういった控えめなヘアアレンジは50代60代の母親に非常に人気があります。
かんざしとして箸を用いる場合もありますが、傍から見た時、箸が飛び出し華美な印象を与える場合があります。
箸タイプのかんざしをする場合は、低い位置で控えめにつけましょう。
失敗しないために|結婚式で黒留袖を着る母親の髪型を選ぶときの注意点
結婚式はフォーマルの場です。親族席に座っている親や他の親族は、目立つような振る舞いや装いは控えなければなりません。髪型は、装いを上品に見せるために、人の印象を大きく左右します。新郎新婦の親族として黒留袖を着る母親は特に、おしゃれや若々しさを優先するのではなく、「品の良さ」を出すようにしましょう。
ここからは、注意しておきたい髪型や髪色、髪飾りについて、以下の4つをご紹介します。マナー同様、黒留袖を着ない時にも共通する注意点ですので、お役立てください。
ダウンヘアは避ける
50代、60代の方だと結婚式にダウンヘアを選ぼうとする方はあまりいないかと思うのですが、念のためにご紹介します。新郎新婦の親族は、お客様を接待する側です。よって、各方面からの来賓や来客の方に、ご挨拶をする機会が多くあります。ご挨拶をするたびに、髪が顔にかかるようなダウンヘアや前髪は、親族としての印象があまり良くありません。
また、食事のたびに、髪の毛をかき上げたり、髪を手でまとめたりしていると、傍から見てあまり衛生的ではありません。
ダウンヘアにしていると、気づかないうちに手で髪を触っていることがあります。まとめられる長さであれば、まとめ髪で顔周りをすっきりさせておきましょう。
髪の盛り過ぎに注意する
若々しさのための髪のボリュームアップや白髪隠しなどで、ウィッグ利用を希望する場合もあるでしょう。
その際、あまりにも違和感のある盛り髪は、正統派の着こなしが求められる黒留袖の髪型としては不向きです。
盛り過ぎた髪型は相応しい髪型とはいえないでしょう。
また、髪をまとめる際、後頭部のふくらみ部分にボリュームをもたせるのは大丈夫ですが、シニヨンの部分を大きく膨らませるのは派手になりすぎるので控えたほうが良いでしょう。シニヨン部分は、高く結い上げた髪型にならないように、耳より下の位置でまとめましょう。
髪色を整える
50代、60代の方であれば日々忙しく、美容院に行く暇がないなどの理由から、染め忘れや染むらといったことが日常的にあるでしょう。しかし、そのままの髪色で結婚式に参列することは控えましょう。結婚式は、事前に予定が決まっています。美容院に行けなかったという言い訳は通用しません。新郎新婦の母親として黒留袖を着るのであれば尚更です。結婚式に合わせたタイミングで染め直しをしましょう。
なかには、「お気に入りの髪色だけど結婚式には不向きな色かも」と心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時は、ウィッグの活用がおすすめです。ウィッグは髪色だけでなく根元の白髪隠しにも活用できますので、ぜひ検討してみてはいかかでしょうか。
黒一色の髪飾りは避ける
髪飾りを黒一色でまとめるのは、喪を連想させるため不向きといわれています。最近では、黒でも、黒真珠といった黒いアクセサリーをワンポイントとして上品に付けるのはいいとされていますが、まだそこまで定着していません。特に、新郎新婦の母親として参列する場合、参列者によっては「親族なのに縁起が悪い」と誤解を与えかねません。母親であれば誰しも我が子の大切な場面で失敗したくはないはずです。誤解を招く可能性のある髪飾りは控えるのがベストでしょう。
【和装】50代60代の髪型の悩みをウィッグで自然にカバーするポイント
50代、60代の方の悩みに多いのが薄毛・白髪です。
和装に合う髪型を検討している方の中にも、薄毛や白髪が気になる方もいるでしょう。
ウィッグは、薄毛・白髪隠しの他にも、髪色を変えたくないといったさまざまな用途に活用できる便利なアイテムです。しかし、参列者と挨拶をする機会が多い親族にとって、ウィッグの着用はバレてしまうのではないかと心配する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、特に50代、60代の悩みに多い薄毛・白髪をウィッグで自然にカバーするためのポイントを3つご紹介します。
ぜひ、和装に合わせるウィッグを検討する際の参考にされてください。
部分ウィッグかハーフウィッグ
カバーする箇所や範囲によってウィッグ選びは変わってきます。まとめる際はトップに適度なボリュームを出してバランスよくまとめることがポイントです。事前に、自分のしたい髪型や悩みをまとめておきましょう。
ウィッグの種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
部分ウィッグ | トップや分け目をカバーする | ・つむじや分け目の薄毛をカバー・トップ部分のボリュームアップ・根元の白髪隠し |
ハーフウィッグ | 前髪部分以外トップ部分から後頭部にかけてカバーする | ・髪全体のボリュームアップ・染むらや白髪隠し・髪の長さを変えたい |
ウィッグの髪色と地毛色が合うものを
ウィッグを自然に見せるために、特に気をつけていただきたいポイントは、ウィッグの髪色と地毛の髪色の差がないものを選ぶということです。部分ウィッグやハーフウィッグの場合、地毛を活かして装着するため、ウィッグと地毛の髪色に差があると不自然に見えてしまいます。ウィッグ選びの失敗を避けるために、ウィッグから出る部分の地毛の色となるべく近い髪色のウィッグを選びましょう。
光沢感や質感をチェック
ウィッグには、人毛、人工毛(ファイバー)、人毛mixの3種類があります。なかでも、人工毛の場合、ファイバー特有のテカリが多少あります。最近のファイバーは特殊な製法で作られており、以前のような「いかにも化学繊維」といった見た目や質感はなくなってきました。しかし、人の髪の毛で作られた人毛や人毛とファイバーをミックスした人毛mixに比べ、テカリがあり、質感が劣ります。人工毛(ファイバー)を購入する際は、できれば、実際に手に取って、光沢感や質感が自然に近いものを選ぶことをおすすめします。
和装に合う髪型におすすめのウィッグ
最近では、「和装ウィッグ」というカテゴリーもあるほどウィッグの幅も広がりました。
ここからは、ウィッグを使った黒留袖に合う髪型をヘアスタイル別にご紹介します。
黒留袖を若々しく着こなしたいという方はぜひご参考ください。
結婚式にも使える「classy wig」のオーダーメイド部分ウィッグ
画像:classy wig
黒留袖を着る際、ウィッグを活用するのもおすすめです。「classy wig」のウィッグなら自毛に馴染んで自然に見えるため、違和感なく着用できます。
ここでは、黒留袖に合うウィッグの活用術や付け方などをまとめました。アップスタイルが苦手な方やショートカットでまとめられない方は、ぜひ参考にしてみてください。
ウィッグの付け方
ウィッグはボリュームを出したい部分に手軽に装着できます。付け方の手順は以下のとおりです。
- ウィッグをブラッシングして整える
- 前後を確認し、前からウィッグをあててかぶる
- ウィッグを前から後ろにズラすようにして後ろ側を合わせる
- ピンでとめる
- 全体をブラッシングしてスタイルを整える
部分ウィッグもフルウイッグも付け方は同じです。コツは前からかぶり、後ろにずらしながら整えることです。とくに分け目や生え際部分が自然に見えるよう調節しましょう。
最初は多少苦戦することもありますが、慣れてくると短時間でウィッグを装着できます。黒留袖を着るときだけウィッグを付けるのなら、人に手伝ってもらうか、何度か自分で練習をしておくと当日スムーズに装着できるでしょう。
黒留袖に合うウィッグ活用例
ここからは実際に黒留袖に合うウィッグの活用例をいくつかご紹介します。まとめることが難しいショートヘアのアレンジや、定番のアップスタイルまで画像付きで紹介するので、ぜひ理想のスタイルを見つけてみてください。
若々しさを演出しやすいショートヘア
ショートヘアの方は、トップや後頭部にボリューム感のある髪型のほうがバランスが取れ、おすすめです。部分ウィッグでボリュームアップしても、ハーフウィッグで長さを足しシニヨンを作るなどのヘアアレンジをしても良いでしょう。前髪の生え際に立ち上がりをつけて横に流すと明るい印象になります。
ボブの方で、髪をまとめる長さがあれば、襟足部分を一つにまとめ、あらかじめシニヨン形状になったウィッグを取りつければ簡単に品のある髪型にセットできます。ハーフウィッグで長さを足し、夜会巻きのようにまとめ上げるのもおすすめです。
【黒留袖に合うショートヘアの例】
引用元:Instagram(@asamika8さん)
トップ部分から後頭部にかけてボリュームを与え、サイドに流したアレンジ。凛とした印象に。
引用元:Instagram(@kaorico727さん)
黒留袖+ブラウンカラーでも、サイドの髪を耳にかければ清潔感のある髪型に。
引用元:Instagram(@kimono_grandmaさん)
ボブの方で襟足部分が結べれば、ウィッグを使ってアップスタイルに変身。
黒留袖を引き立てるアップスタイル
ミディアムヘアやロングヘアの方のヘアアレンジは、顔や首周りをすっきりさせるアップスタイルが一般的です。トップから後頭部にかけてボリュームを持たせるハーフウィッグを用いて、美しい髪の流れを演出する夜会巻きがおすすめです。夜会巻きは、上品な雰囲気を醸し出してくれます。襟足をすっきりと出して、後頭部にボリュームをもたせるとバランスが綺麗に見えます。黒留袖を含む着物スタイルと相性の良い髪型です。
また、低い位置のシニヨンヘアでまとめるのも、丸みを帯びたシルエットで優しい印象を与えるでしょう。
【黒留袖に合うアップスタイルの例】
引用元:Instagram(@kitasenjuhairmakeさん)
長さがあれば、夜会巻きがおすすめ。扇型のかんざしが上品です。
引用元:Instagram(@hiromimake215さん)
下でまとめたシニヨンが、柔らかい印象を与えてくれます。控えめな髪飾りでもシンプルな髪型に映えます。
引用元:アゼリア楽天店
地毛をまとめてウィッグで被せるだけ。まるで、美容院でセットした仕上がりに。
黒留袖の髪型で失敗したくないのならウィッグを活用しよう
黒留袖は結婚式などで新郎や新婦の母親が着る格式高い礼服です。黒留袖を着る際は、髪型はなるべくアップにし、すっきりとまとめます。
もし、髪が短すぎてまとめきれないのなら、ウィッグを活用するのもおすすめです。ウィッグならつけるだけで、ボリュームアップするのでアップスタイルもかっこよく決まります。
また、黒留袖を着て結婚式に出席する際は、いくつかのマナーもあります。手を挙げる際はもう片方の手で袖を押さえたり、歩幅を小さくし、ゆっくり歩いたり、座る際は帯がつぶれないように背もたれに寄りかからないようにしましょう。
黒留袖は滅多に着ない礼服なので本番で失敗しないよう、分からない点は事前に調べて確認しておくことが大切です。