
白髪隠しウィッグのデメリットとは?自然に見せる選び方と対策

白髪が気になり始めた30代後半から60代の女性にとって、白髪隠しウィッグは手軽な解決策として注目されています。しかし、ウィッグには「不自然に見える」「装着が難しい」「頭皮への影響が心配」などのデメリットも存在します。この記事では、白髪隠しウィッグのデメリットを詳しく解説し、自然に見せるための選び方や対策法を紹介します。
目次
白髪隠しウィッグの主なデメリット
ウィッグは一見便利なアイテムですが、使用するにあたって、いくつかの注意点があります。代表的なデメリットを以下にまとめます。
不自然な見た目
白髪隠しウィッグが不自然に見える主な理由は、地毛との色の不一致、不適切な毛量、人工的な光沢、不自然な毛の植え方、サイズや着用位置のずれにあります。特に、境目が目立ったり、頭のシルエットに違和感があったり、毛の光り方が不自然だったりすると、ウィッグの存在が一目瞭然になってしまいます。
装着の難しさ
ウィッグを正しい位置で自然に装着するには、ある程度の慣れが必要です。特に初めての方は、装着後にズレたり、頭皮が引っ張られるような感覚に違和感を感じることがあります。
でも心配は無用です。最初は時間がかかっても、コツをつかめば、あっという間に自然な仕上がりができるようになります。慣れてくると、わずか数分で自然な仕上がりを実現できるようになり、白髪を気にせず自分らしい外見を楽しめるようになります。
クリップ式
自毛にしっかり固定する必要があり、位置決めやクリップの留め方に慣れるまで手間取ることがあります。クリップがしっかり留まっていないとズレたり、逆に強く留めすぎると痛みを感じることもあります
引き抜き式(自毛をベースの隙間から引き出すタイプ)
見えない部分の作業が多く、初めての方には難易度が高い装着方法です。
既製品ウィッグ
既製品の場合、自分の髪型や頭の形に合わず、装着が難しい・不自然に見えることもあります。自毛とのなじませも重要で、ウィッグの毛量が多すぎたり、自毛と色や質感が合わないと装着後に違和感が出やすいです。自然に見せるためには、装着位置や毛流れの調整が必要です。
頭皮への影響
ウィッグは地毛の上から装着するため、特に夏場は頭皮が蒸れて痒みが出ることがあります。頭皮環境の悪化につながる場合もあるので注意が必要です。
湿気や蒸れを防ぐためには、いくつかの効果的な対策があります。
通気性を確保
通気性の良いウィッグキャップを選ぶことが大切です。吸湿性や速乾性に優れた素材のキャップは、頭皮の蒸れを軽減してくれます。また、使用前後にウィッグキャップを清潔に保ち、定期的に交換することをおすすめします。
頭皮への負担軽減
頭皮のケアも重要です。外出前や装着前に、軽く頭皮用デオドラントスプレーを使用したり、さらさらの制汗シートを活用したりすると、湿気や匂いを抑えられます。装着時間が長くなる場合は、こまめに少し外して頭皮を休ませる時間を作るのもおすすめです。
夏場は特に、通気性の良いウィッグを選んだり、薄手のものを使用したりすることで、頭皮への負担を軽減できます。さらに、装着後は頭皮を清潔に保つため、優しいスカルプシャンプーで洗い流すなど、丁寧なケアを心がけましょう。
メンテナンスの手間
ウィッグは定期的なシャンプーやケアが必要で、手入れを怠ると見た目が悪くなります。そして、型崩れを防ぐための保管も必要です。
毎回の使用後は、軽くブラッシングして、ほこりや汚れを取り除きます。使用後は、ウィッグスタンドに掛けるか、専用のケースに保管するのがいいでしょう。週1回程度は専用のウィッグシャンプーとコンディショナーを使って丁寧に洗浄のお手入れが必要です。
このように手間がかかる点がデメリットといえるでしょう。ですがまめにメンテナンスを行うことでウィッグを綺麗な状態で長持ちさせることにつながります。
ヘアスタイルの制限
白髪隠し部分ウィッグは基本的にカバーしたい部分に合わせて使うため、ヘアスタイルの自由度はやや制限されます。質の良いウィッグやオーダーメイドを利用すれば、ある程度のスタイル調整は可能ですがその分コストがかかります。
コスト面の負担
高品質な白髪隠しウィッグは、数万円〜十数万円するものもあります。さらに複数の使い分けや買い替えを考えると、経済的な負担がかかります。
しかし、長期的な視点で見ると、長期間使用できる耐久性を持ったものを選べば、コストパフォーマンスを考慮した選択が可能です。複数を使い分ける場合や定期的に買い替える場合は、その点を踏まえて予算を検討するといいでしょう。
ウィッグの種類とそれぞれの特徴
白髪をカバーするためのウィッグには、用途やカバー範囲によって以下の様に種類があります。それぞれの特徴は表の通りです。
ウィッグの種類 | カバー範囲 | 特徴 | メリット |
トップピース | 頭頂部・分け目周辺 | 部分ウィッグ。軽量で装着が簡単 | 白髪や分け目のカバーに最適。通気性も◎ |
フルウィッグ | 頭全体 | 頭全体を覆うタイプ | 白髪・薄毛・ボリューム不足をしっかりカバー。イメチェンにも最適 |
ハーフウィッグ | 後頭部〜頭頂部 | 地毛と馴染ませる中間サイズのウィッグ | 自然なボリュームアップができ、初心者にも扱いやすい |
頭頂部や分け目の白髪を隠すのに適した軽量な「トップピース」、頭全体を覆い薄毛やボリューム不足も解消できる「フルウィッグ」、そして後頭部から頭頂部をカバーして自然なボリュームアップが可能な初心者向けの「ハーフウィッグ」があります。用途や悩みに合わせて最適なタイプを選ぶことが大切です。
素材別のメリット・デメリット
ウィッグの印象や扱いやすさは、「素材」によって大きく左右されます。以下は、主な素材のメリット・デメリットを表にまとめました。
素材 | メリット | デメリット |
人毛 | ・自然な見た目と手触り・地毛のような質感・パーマやカラーが可能・スタイリング自由度が高い | ・高価・やや重い・お手入れに手間がかかる・洗髪後にスタイリングが必要 |
人工毛(ファイバー) | ・価格が安い・軽い・お手入れが簡単・型崩れしにくい(形状記憶) | ・独特のテカリが出やすい・高温に弱い(耐熱性タイプもあり)・パーマやカラー不可・風合いがやや不自然 |
ミックス毛(人毛+人工毛) | ・自然な見た目とお手入れのしやすさの両立・価格は人毛より安い・軽めで扱いやすい | ・人工毛よりは高価・人毛100%ほどの自然さはない・混合比率によって特徴が異なる |
人毛ウィッグは、特に自然さやスタイリングの自由度を重視する方におすすめですが、価格や日々のケアの手間が必要です。一方で人工毛ウィッグは、コスト重視や手軽さを求める方に最適で、最近は品質向上により自然な見た目のものも増えています。ただし、熱に耐性がなく、ヘアスタイルの自由度には制限されることが多いでしょう。そして、ミックス毛ウィッグは、両者のいいとこ取りですが、価格や自然さは中間的です。混合比率や品質によって仕上がりが変わるため、実物を見て選ぶのがいいでしょう。
自然に見せるための選び方と装着のコツ

ウィッグ着用のデメリットを解消するために、ここでは、自然に見せるための選び方と装着のコツを詳しく解説します。
自然に見せるための選び方
白髪隠しウィッグを「いかにもウィッグ」に見せないためには、いくつかの工夫が必要です。
髪色・毛量・質感を自毛に合わせる
自分の髪色や髪質に近いウィッグを選ぶことが一番大切です。特に部分ウィッグの場合、地毛とウィッグの色が合わないと不自然に見えやすいので、複数色をブレンドした自然な色味のものがおすすめです。
ウィッグを自然に見せるカギは、肌の色や年齢に合った色選びです。以下のポイントに注意しましょう。
- 肌の色に近いカラートーン
- 暖色系の肌tone → 黒茶、ダークブラウン
- 冷色系の肌tone → 濃い茶色、グレー混じりの黒
- 白髪の量に合わせて、グラデーションカラーも検討
- 年齢に合った色味
- 若々しすぎない、自然な白髪mix
- 完全な黒は避け、やや抜けた色味を選ぶ
フィット感とサイズで選ぶ
頭の形やサイズに合ったウィッグを選びましょう。
測定方法は以下の通りです。
測定手順

- 前頭部の最も突出した部分から周囲をメジャーで測定
- 耳の上部から頭頂部を通り、反対側の耳の上部まで
- 後頭部の最も膨らんだ部分の周囲
- これらの数値を控えておく
サイズが合わないと浮いて見えたり、ズレやすくなります。
まずはアジャスターで調整し、さらに必要に応じて縫い縮めやカットで微調整するのが基本です。サイズや装着感に不安がある場合は、専門サロンのサービスを活用すると安心です。
オーダーメイドや部分調整可能な商品も検討するといいでしょう。
自然に見える素材選び
人毛や人毛ミックスは自然な質感が出やすいです。人工毛でも総手植えタイプは立ち上がりが自然で、ボリューム感も調整しやすいです。
装着のコツ

ウィッグを着けていても、自然に見せるためには装着のちょっとしたコツがあります。
いくつかのポイントをお伝えします。
装着前のほぐし
新品のウィッグは整いすぎていることが多いので、手ぐしやコームで軽くほぐし、カールやストレートを自然な毛流れに整えます。これによりナチュラルな風合いをつくることができます。
位置合わせが重要
ウィッグを装着する際は、分け目やつむじの位置を地毛とぴったり合わせることで、境目が目立ちにくくなります。前髪や分け目タイプのウィッグなら、地毛の分け目に沿って装着するのがコツです。
自毛とのなじませ
ウィッグはクリップで地毛にしっかり固定します。装着後、手ぐしやコームで地毛とウィッグの毛を軽く混ぜるようになじませると、より自然になります。ブラシで整えすぎると不自然になりやすいので、手ぐしでふんわり整えるのがおすすめです。
つむじの工夫
つむじ部分に逆毛をつくると、より自然な仕上がりになります。ウィッグの根元に逆毛が入っていると、ベースネットが透けにくくなり、より自然な見た目になります。歯ブラシを使って逆毛を立てる方法だと、初心者の方も簡単にできるのでおすすめです。
歯ブラシで逆毛を立てる手順
- ボリュームを出したい部分の毛束を少し取り、根元に向かって歯ブラシでやさしくとかします。
- 一度にたくさん逆毛を立てるのではなく、少しずつ重ねていくことで、自然なふんわり感が出せます。
- 仕上げに表面の毛をかぶせて整えると、逆毛部分が目立たずナチュラルな仕上がりになります。
歯ブラシは毛先が細かく柔らかいため、逆毛が苦手な方や、通常のコームで毛が絡まってウィッグが傷んでしまうのが心配な方におすすめの方法です。
しっかり固定
クリップタイプの場合は、ウィッグのクリップ部分を、結んだ自毛の上からしっかり挟み込みます。地毛とウィッグの間に隙間ができないよう、根元にしっかり密着させるのが自然に見せるポイントです。
取れやすい場合はクリップを留めたい位置の自毛を小さく結んでおき、その部分に噛ませることでクリップが滑りにくくなり、安定感が増します。
頭皮への影響とその対策

ウィッグを長時間着用すると頭皮が蒸れやすくなり、汗や皮脂がたまりやすくなります。これにより雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮環境が悪化してフケやかゆみ、炎症、抜け毛・薄毛の原因になることがあります。
また、クリップやストッパーの強い固定は自毛や頭皮に負担をかけ、抜け毛や薄毛を進行させるリスクがあります。
長時間の着用によるこのような頭皮トラブルは、対策次第で軽減できます。具体的な方法をお伝えします。
通気性の良い素材を選ぶ
メッシュ構造や吸湿速乾性のある素材を選ぶことで、蒸れによる不快感を軽減できます。また、汗・皮脂を吸収するガーゼキャップを併用することで蒸れを軽減させることも可能です。
着用時間を調整する
長時間の着用は頭皮の負担になります。外出時のみ使用する、または1〜2時間ごとにウィッグを外して頭皮を休ませる時間を作ることで、健康的な頭皮環境を保ちやすくなります。
頭皮ケアを習慣に
ウィッグを長時間着用すると、頭皮が蒸れて汗や皮脂がたまりやすくなり、かゆみなど頭皮トラブルの原因となります。そうならないためにも頭皮を清潔に保つのが重要です。毎日やさしくシャンプーし、低刺激性や肌にやさしいシャンプーを使うのがおすすめです。
ウィッグを外した後は、頭皮をしっかり洗い、乾燥させてから保湿ケアを行いましょう。頭皮用のローションや保湿剤で乾燥を防ぎ、やさしくマッサージすると血行促進やリフレッシュ効果が期待できます。
また、ウィッグ使用時は専用のインナーキャップやネットを使うことで、頭皮への直接的な摩擦や蒸れを軽減し、衛生的にも保ちやすくなります。
ウィッグを清潔に保つのはもちろんですが、頭皮も清潔に保つことが、かゆみやトラブル防止の基本となります。
お手入れの基本と長く使うための工夫
白髪隠しウィッグを美しく、そして快適に使い続けるためには、日々のメンテナンスが欠かせません。ウィッグは髪型の印象を大きく左右するアイテムであると同時に、繊細な素材から作られているため、丁寧な取り扱いが求められます。ここでは、正しいお手入れの方法と、長く使うための工夫をご紹介します。
定期的な洗浄で清潔を保つ

ウィッグは地肌に触れるものですから、使用を重ねるうちに皮脂や汗、外気中のホコリなどが付着します。特に白髪隠しウィッグは日常的に使用する方が多いため、定期的な洗浄が必要です。ウィッグ専用のシャンプーとトリートメントを使用し、ぬるま湯で優しくもみ洗いするのが基本です。洗浄後はタオルで水気を吸い取り、風通しの良い場所で自然乾燥させるようにしましょう。
くれぐれも「直射日光・高温多湿・風通しの悪い場所・熱源の近く・濡れたまま密閉」は避けましょう。
型崩れを防ぐ保管方法

使用しない時の保管方法も、ウィッグの寿命を大きく左右します。クローゼットや引き出しにそのまま収納すると、型崩れや絡まりの原因になります。専用のウィッグスタンドやマネキンヘッドに乗せて保管することで、自然な形状を保ちやすくなります。また、直射日光や湿気の多い場所は避け、風通しの良い環境を選びましょう。
コストパフォーマンスを意識した選び方
ウィッグは高価な買い物になることも多いため、価格と品質のバランスを見極めることが重要です。「安価だから」「見た目が好みだから」といった理由だけで選ぶと、早期に劣化してしまい、結果的に出費がかさむこともあります。耐久性のある素材か、保証やサポート体制が整っているかなどを確認し、長く使える製品を選ぶことが賢明でしょう。
さらに、日常使いと外出用を分けて使うことで、各々のウィッグにかかる負荷を減らし、結果的に寿命を延ばすことにもつながります。
例えば、家の中や近所用には締め付けが少なく気軽に使えるルームウィッグや簡単装着タイプを、外出時には自然さや耐久性の高い医療用フルウィッグやファッションウィッグを使い分けると便利でしょう。
ウィッグの「デメリット」は正しく知って上手に使いこなそう
白髪隠しウィッグには確かにデメリットがありますが、それらをしっかりと理解し、適切な対策を講じることで、快適で自然な仕上がりを実現することができます。
地毛と色を合わせて適切に装着すれば自然な仕上がりになります。頭皮ケアや装着時間の調整によって肌トラブルを防止できます。また、素材と価格のバランスを見極めることで、長期間にわたって満足できるウィッグ使用が実現できます。
ウィッグは単なる「隠す道具」ではなく、あなたの印象や自信をサポートするアイテムです。だからこそ、「どう見られたいか」「どう過ごしたいか」に目を向けて、自分に合ったウィッグを前向きに選んでみてください。
ほんの少し勇気を出して一歩踏み出せば、今よりもっと自然で、ラクに、そして笑顔で過ごせる毎日が待っていますよ。

監修者
眞子 桂子(まなご けいこ)
美容ケアの専門家/医療美容師/セラピスト芸人【千と桂】katsuraco
東松山市應援團(親善大使)
薄毛・脱毛症などの見た目の悩みを抱える方々に寄り添い、独自の美容療法を展開。髪や肌、心のケアを重視し、似合わせウィッグの提供や頭皮ケア、健康相談を行う。また、自身の経験を基に東洋医学や心理学を学び、2015年に髪と肌、心の相談室「KAMI結」を設立。2017年には外見の悩みを抱える方々のためのプライベートサロンを開業し、訪問美容やアピアランスケアにも力を注いでいる。
さらに、「美容で生きる力を届ける」をテーマに講演活動を行い、映画『あなたへつなぐものがたり』を製作。2022年には完成披露上映会を開催するなど、多方面で活躍中。
役職
- 一般社団法人 医介連携いきがい協会 代表理事
- KAMI結 代表
- NPO法人 福祉ケアサポート理美容協会 理事
- あなたへつなぐプロジェクト 実行委員長